ドラえもんを改変する
元ネタはsite sawadanの「香港おそるべし! な写真」から。
元画像を見ると、台北市で出版されている子供向け立体工作の本らしい。このドラえもんによく似たキャラクター(以後「偽ドラ」という。)は裏表紙の絵で、切り取ってお面として使用するようだ。
しかし、どこで何をどうすると、ドラえもんがこうなってしまうのだろうか。
4つの可能性を考えてみた。
1. 著作権対策で改変した
2. うろ覚えで描いた
3. 電話、口頭などで聞いたままに描いた
4. こうした方が可愛いので改変した
1が一番ありそうではある。
ぼくが子供のころには、こういうよく分からないキャラクター商品が氾濫していた。キョジンガーZとか最強戦士ガンヒーローとかそういうのである。
しかし、表紙には比較的きちんとドラえもんが描かれており(上記リンク先参照)、裏表紙だけを改変しても意味がないはずだ。表紙の絵だけ使用権許諾を受けていると考えることもできるが、きちんと許諾を受けておきながら、盗用した(と取られかねない)絵を掲載するのは却って危険であるから、その可能性は低い。
2と3は、内容的にはほぼ同じく、資料不足によるミスという可能性だ。
表紙と裏表紙で異なるイラストレーターが描いたとすればあり得ないことではない。編集者や校正者は間違いに気づいたのだが、予算や日程の関係で描き直し・差し替えが困難であったのかもしれない。
そう、この説を採ろうとすれば、あまりにも多くの仮定をしなくてはならない。
すると、あまり信じたくないことであるが、実は4こそが正解なのか。
ドラえもんを見慣れたぼくらにとって、この絵はどう見ても変である。醜悪だとまでは言わないが、強い嫌悪を感じる。自分の価値観を揺さぶられるような不安もある。
しかし、もし描き手がドラえもんをそれほど見慣れていないとしたらどうであろうか。
では、一度ドラえもんというキャラクターから離れて無心に絵を見てみよう。
ドラえもんと偽ドラの絵の差異はほとんど眼だけであることに気づく。鈴の有無もかなり大きな違いであるが、ここでは眼に注視してみる。
偽ドラは、眼と眼の間が少々離れてはいるものの、人間的な位置にあると言えるし、大きさもデフォルメの範囲内に収まっている。
ドラえもんを見てみると、顔(白い部分)を大きく逸脱し頭(青い部分)にまでまたがる巨大な眼といい、それが真ん中に寄ってくっついているところといい、かなり異様である。
ドラえもんというキャラクターに思い入れのない人間が描くとするならば、より自然な方向へ改変してしまうということは十分にあり得ることではないだろうか。
ぼくらがキャベツ畑人形やザ・シンプソンズを余り可愛いと思えないのと同様に、この偽ドラの描き手も、ドラえもんが可愛いと思えなかったのかもしれない。美的センスというのは絶対ではないという証左である。
ところで、お面にするために眼の位置を人間に合わせなければならなかった、という選択肢は思いつかなかったので含めていない。
by clocken
| 2004-09-13 02:14