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学校では謝罪の仕方を教えてくれないからね

 あちこちのブログで取り上げられている(例→『清谷防衛経済研究所 ブログ分室』のエントリ」など)JR西日本記者会見で罵り声を上げていた読売新聞社大阪本社社会部の記者(以下、引用文以外では「ヒゲ記者」)について、読売新聞が謝罪記事を掲載したという記事をasahi.com「『記者がJR西日本幹部に暴言』 読売新聞が謝罪」で読んだ。

 早速、読売新聞のウェブサイト『Yomiuri On Line』を探してみた。確かに「社会」欄に「脱線事故会見巡る不適切発言でおわび…読売・大阪本社」という謝罪記事が掲載されている。

 読売新聞大阪本社は12日、尼崎脱線事故記者会見での同社記者の不適切な発言について、社会部長名で談話を出した。
   ◇
(前略)
 本社は日ごろから、日本新聞協会の新聞倫理綱領、読売新聞記者行動規範にのっとり、品格を重んじ、取材方法などが常に公正・妥当で、社会通念上是認される限度を超えないよう指導してきました。今回の事態を重く受け止め、記者倫理の一層の徹底を図ります。(略)

 JR側の説明が二転三転したため、会見は全体として詰問調になったようですが、当該記者の発言の一部は明らかに記者モラルを逸脱していました。

 この模様がテレビや週刊誌で報道されると、読者から叱責(しっせき)や苦情が寄せられました。使命感や熱心さのあまりとはいえ、常に心がけるべき冷静さを欠いたと言わざるを得ません。日ごろの指導が生かされなかったことに恥じ入るばかりです。(後略)


 なにしろ読売新聞だけに「日ごろの指導」の賜だったのではないか、などとは全然少しも思わない。しかし、この謝罪記事を読むと読売新聞が今回の事件をまったく反省していないばかりか、取材方法の公正さ妥当さということをまったく理解していないと考えざるを得ない。

 お詫びと言いながら、まず「JR側の説明が二転三転したため、会見は全体として詰問調になった」と、原因はJR西日本にあると書く。さらに、記者モラルを逸脱していたのは「発言の一部」であるという。そりゃ、彼の発言の全部が逸脱していたわけではないだろうが、あえて「一部は」と書くことで、わずかでも責任を軽くしようとする思惑が透けてみえる。だいたい、記者モラルと人間としてのモラルって、どっちの方がより厳正なのか。一般人としては理解を得られる行為ができる状況(たとえば、被害者の遺族がJR西日本の社長を罵倒する)であっても、公正・妥当を旨とする記者はより高い倫理規範を持って行動すべきなのではないか(たとえば、被害者の一人でありながら、冷静に事故当時の状況を記事にする)。ヒゲ記者の態度や発言はひとりの人間としてどうだったのか。「発言の一部は…記者モラルを逸脱していました」というのは、反省の弁になっていない。

 暴言を吐かれた側に対するお詫びがないのはなぜなのか。
 いったい誰に対して謝罪しているのか。
 謝罪記事からはまったく分からない。「読者から叱責や苦情が寄せられ」たからお詫びします、というのでは何を謝っているのかすら分からないではないか。世間を騒がせたことをお詫びしますというヤツか?

 ヒゲ記者が暴言を吐いたのは「使命感や熱心さのあまり」「冷静さを欠いた」ためであるという認識は、根本的に間違っている。記者も人間なのだから、いい加減な発言や曖昧な説明を繰り返し、少しでも責任を軽くしようとする者を相手にしたら腹が立つこともあるだろう。
 しかし、記者はあくまでも取材することが仕事であって、被害者の代弁者ではないし、社会正義の具現者でもないのだ。今回のように被害者にまったく非がなく、すべてが加害者の非であるというようなときであっても、被害者の側に立つのではなく、事実を明らかにして報道することに使命感を感じるべきではないのか。あの態度は「俺の立場は正義の側だ」という誤った認識から生まれているとしか思えない。ひとりよがりの正義感、利己的な使命感で取材を行っていることが露見したのだ。
 それを単なる“行き過ぎ”だと考えている社会部長も、ヒゲ記者と同類なのだと考えるしかあるまい。

 ヒゲ記者が暴走して加害者を罵倒したのは確かに悪いが、言ってみれば馬鹿な人間が一人いたという話だ。点火の好奇…いや変換間違い…天下の公器たる新聞を発行する会社が馬鹿な人間を庇い、あまつさえ反省もせず処分も発表せず、発行部数日本最大の新聞だとふんぞり返っているという事実には暗澹たる気持ちになる。
 発行部数が読売新聞の3分の1しかなく、MSN-Mainichi INTERACTIVEがものすごく使いにくいとはいえ、しばらくは毎日新聞で我慢するしかなさそうだ。
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by clocken | 2005-05-14 01:14
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思考の空転するままに書くことができたら。


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