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司法処分出廷要請最終通達書


 架空請求詐欺に限った話ではないけれど、詐欺師というのはほんとうに次から次へと新しい手口を生み出してくるものだ。感心するしかない。
東京法務局ホームページ TOKYO Legal Affairs Bureau」に「法務局を冠記した債権回収会社名による『偽った業者による架空の債権の請求に御注意』ください。」というお知らせがある。

 債権回収会社(サービサー)を名乗って架空請求詐欺をする業者について注意を喚起しており、その業者が実名(?)で掲載されている。業者は「法務局認可法人 民事訴訟通達管理事務局」などと名乗っているようだ。まことにそれらしい名称だけれど、これはちょっと役所と誤認しそうな名前をつけたというだけのことで、感心するようなものでもない。

 しかし、下の方に載っていた「司法処分出廷要請最終通達書」という新しい手口には少し感心した。少し長いが、全文を引用してみる(引用する意味がないと思うところは削除した)。
     司法処分出廷要請最終通達書

 この度通知しましたのは、貴殿の利用された「電子消費者料金未納分」について、電子消費契約管理センターより平成16年○月○日に民事告訴を受けましたので、下記期日までに出廷して下さい。

 こちら「電子消費者民法特例法」上、法務省認可通達書となっておりますので、連絡無き場合には、本通達書記載の裁判所へ出廷となります。また司法処分の措置として、給与及び賞与、動産物・不動産物等の差し押さえを民執法156条1項に基づき強制執行させて頂きますゆえ、当局と執行官による「執行書の交付」を承認していただくようお願いします。
 又、本案件に関して取り下げ手続きを執り行う場合は下記期日までに当局まで連絡をお願いします。
 尚、書面での本通達はプライバシー保護法案の為、請求金額・支払方法及び取り下げ方法等は当局職員までご確認下さい。
 以上を持ちまして最終通達とさせていただきます。

 司法処分出廷要請日 平成16年○月○日
 出廷場所 東京地方裁判所裁判部第63民事執行センター第6法廷
 裁判取り下げ最終期日 平成16年○月○日
 取り扱い執行官 東京地方裁判所民事部書記官 ○○○○
 受付時間 月曜〜金曜 午前9時〜午後5時
 司法処分取扱い担当区分 東京法務局
 〒102-8225 東京都千代田区九段南6-15-1 新東京合同庁舎
 代表番号 03-××××-××××

 なお、「千代田区九段南」は四丁目までしかないし、民事執行センターは民事第21部で目黒区にあるし、東京法務局は司法処分はしない。

 とにかく、このいきなり裁判所を名乗って書面を送りつけ、さらに裁判所として電話連絡を受けようとするというのはすごいね。腹が据わっている。ここまでやるなら九段南にほんとうに「新東京合同庁舎」を造って(書き割りでもいいから)、ちゃんと出廷させて欲しい。最近の情勢を考えると入り口で持ち物検査をする警備員も必須である。

 しかし、やはりというかなんと言うか、この文章もメチャクチャだ(いや、法律的なつっこみも面白そうだけれど、ボロが出るのは嫌なのでやりません)。それ以前に、日本語としてメチャクチャである。
 こんな詐欺を思いつくのだから頭はいいのかもしれないけれど、なんでまともな文書が書けないのだろう。不思議でしかたがない。

 架空請求の葉書の文案を作った人と、もしかしたら同一人物なのだろうか。ひどく文章が似ているような気がする。たとえば冒頭「この度通知しましたのは」というような、不必要な書き出し。
「こちら『電子消費者民法特例法』上、法務省認可通達書となっておりますので、連絡無き場合には、本通達書記載の裁判所へ出廷となります」という、デパート方言とでも言うべき気持ち悪い丁寧語。
「以上を持ちまして最終通達とさせていただきます」って、結婚式のご挨拶じゃないんだから。
 なんというか、「手紙の書き方・文例集」みたいな本の「苦情の手紙」とか「返済の催促」の項を参考にしたんじゃないかというような、妙な丁寧さである。強制執行すると脅したその直後に、なんだかよく分からない「執行書の交付」を「承認していただくようお願いします」とか下手に出る。
 あ、これはターゲットが「なんかよく分からないけど、電話すれば(執行書を承認したくないのですがと言えば)強制執行は避けられるのかもしれない」と思うようにし向けているのだろうな、たぶん。
 でも文章が下手くそなのはそれとは別の問題である。

 また、原因の一部には、無理に「堅苦しい」雰囲気にしようとするせいもあるのだろう。ふだん使わない言い回しを多用するのは難しく、すぐにボロを出してしまう。しかし皮肉なことに、裁判所から来る文書は最近ずいぶん分かりやすくなっている。できるだけ専門的な言葉を使わず、丁寧に説明がされていることが多い。法律家と言えば悪文書きで有名であるが、少しずつ変わっているのだ。例外も確かに多いけれど。

 ところで、Googleで調べてみると、このタイプのものはけっこう出回っているようで、東京都消費生活総合センターほかの「東京の消費生活」の「法律事務所を装った架空請求に注意!!」にも掲載されていた。
★センターから事業者に電話したところ、1回目は「すし屋で間違い電話に迷惑している。」といい、2回目は「こちらは引越センターである。引越の請求をして何が悪い。」と事実を否定。

 すし屋とか引越センターとか答えるところが謎である。怪しい電話だと自ら認めているようなものではないか。

当ブログ内関連エントリ
 ・初めて架空請求詐欺の葉書を実見した(説教強盗型)
 ・架空請求詐欺の葉書、その後
 
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by clocken | 2005-08-23 23:17 | archives
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思考の空転するままに書くことができたら。


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