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ミステリを読むきっかけを失ったかもしれない

 一昨年末から毎日新聞に換えた。
 新聞なんてどこでも構わないけれども、読売新聞の販売員の態度の悪さは目に余るし、朝日新聞の迷走ぶりは笑えなくなってきたので、あまり選択肢がなかったのである。
 さて、毎日新聞といえば「毎日かあさん」(西原理恵子)だが、それはそれとして、思わぬところに収穫があった。今日はその話をしたいのだ。

 つい最近終わってしまったが、毎週日曜版(日曜くらぶ)に連載されていた「小樽・北の墓標」(西村京太郎)のことである。
 ぼくはミステリを読まないので、西村京太郎氏の作品をきちんと読んだのは、たぶん初めてである。知識としては「〜(列車名)〜殺人事件」というものをたくさん書いている、十津川警部シリーズというのはなんとなく聞いたことがある、という程度のもの。しかし、数十年にわたってミステリを書き続けてきた大家であるという評価くらいは知っている。

 日曜くらぶの連載は、小野利明氏の美しい挿絵によって彩られていた。その肝心の中身といえば、いったい、これは、どうしたことだろう。読点のやたらと多い、読みにくい文章。リアリティのない、すっとぼけた会話。まったく現場感のない、情景描写。埋めたまま、忘れられた、伏線。憶測ばかり、しゃべり散らす、十津川警部。ああ、読点が多い。

 ストーリーは見事なまでに空回りを続け、盛り上がりもなく、たくさんの疑問が置き去りにされたまま、突然に物的証拠が突きつけられて終わる。

 これが日本ミステリの第一人者の作品というものなのか。
 連載開始から終了まで1回も漏らさず読み、時には数回読み返しての印象がこれだった。脱力感に苛まれながらネットを検索してみると、
第8回日本ミステリー文学大賞
大賞
西村京太郎
「小樽 北の墓標」(毎日新聞「日曜くらぶ」に連載)
Book Clip 「受賞情報」

というものが発見される。
 むむ。
 ぼくは何か大事なものを見落としているのだろうか。
「日本ミステリー文学大賞」というのをちょっと調べてみると、これは特定の作品を対象としたものではなく、「日本ミステリー文学界の発展に貢献した作家もしくは評論家に贈呈され」るもので、「作家、評論家、出版関係者などへのアンケートなどを参考に候補者を推挙し、選考委員会によって決定され」るという性質であるようだ。ふん、なるほどね。
 光文社のウェブサイトを見ると、選考委員はみな一様に氏の過去の作品にしか触れていない。さもありなん。

 でも、確かに毎日新聞の記者が書いたとおり(下記参照)、ある意味日曜の朝が楽しみではあった。新たに阿刀田高氏の「おとこ坂 おんな坂」の連載が始まったが、そつのない作家だけに、西村氏ほどの“楽しみ”は与えてくれないかもしれない。
記者日記: 待ち遠しい日曜 /埼玉

 日曜の朝が楽しみになりそう。今月から始まった毎日新聞の別刷り「日曜くらぶ」の連載小説「小樽 北の墓標」を読むためだ。鉄道ミステリー作家、西村京太郎氏の書き下ろしとあっては、推理小説ファンなら見逃せない。おなじみ警視庁捜査一課、十津川警部と亀井刑事の活躍で事件が解決するわけだが、ワンパターンのテレビのワイドドラマよりはるかに面白い。犯人当てスリルが頭の体操にうってつけと言える。(後略)【藤川敏久】
毎日新聞 2004年4月9日

 あまり関係ないけれど、「書き下ろし」は普通、連載せずに初めから単行本で出すような場合をいう。必ずしも間違いとは言えないけれど。
by clocken | 2005-04-04 02:52
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思考の空転するままに書くことができたら。


by clocken
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