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特許庁にて(4) ほんとうに機能しているのか

 願わくはこれが特許庁に関して書く最後のエントリであって欲しい。
 もうあんな役所とは関わりたくないというのが一つ。電子化電子化と騒ぐ割に、まったくもって仕事が遅く非合理的で、職員は自分の半径25cmを出る業務についてはまったく無知である。
 少しは改善され、もうこんなことを言われないで済むようにして欲しいというのが一つ。ぼくが少ないながらも納めている税金で運用しているわけだから、改善できるところはし、合理化できるところは合理化して、さっさと使える役所になって欲しい。

 ということで思い出した話があるので、上に書いたことのインクも乾かぬうちに、自分の体験談は次のエントリに続いてしまうこととなった。

 つい最近商標無効の審決が話題になった。山梨の印章メーカーが「福沢諭吉」を商標登録していたところ、学校法人慶應義塾が登録無効審判の請求をしたというもの。結局、慶應義塾の主張が認められた形で、登録無効の審決が出たわけなのだが、その根拠というのは「公序良俗違反(商標法 第4条第1項第7号)」だという。(→「どのような商標が登録にならないのか」/特許庁)
 審決は「福沢諭吉は慶応義塾の創設者としてよく知られ、郷土大分県中津市はもとより国民一般に敬愛された人物と認められる」と指摘。
 その上で「遺族らの承諾を得ずに商標登録することは著名な死者の名声に便乗、使用独占をもたらすことになり、故人の名声・名誉を傷つけるだけでなく、公正な取引秩序を乱し、公の秩序を害する恐れがある」と判断した。
Yahoo!ニュース - 共同通信 - 「福沢諭吉」の商標無効 特許庁「名声に便乗」

 印章メーカーは「登録を認めておきながら取り消されるのは納得できない面がある」と言っているらしいが、それはそうだ。公序良俗違反だというのなら、登録審査の時点で判断できるはずで、なぜ今さらそれを審決理由にする? わけが分からない。

 しかも、広島の酒造メーカーも酒類について「福沢諭吉」の商標を登録している。これも公序良俗違反で無効ということになるではないか。
 ちなみに、商標法では、現存者の氏名はその承諾がない限り登録できないと定めている。これは死者については適用されない。今回のようなケースは珍しいということである。

 このほかにも、角川ホールディングスの商標「NPO」「ボランティア」でもこれを登録取消とする決定があった(→「特許庁、角川の「NPO」「ボランティア」の商標登録を取消し 2005/05/19(木) 14:54:55」/知財情報局)。
 特許庁は、両用語とも、創作性に欠け、「雑誌、新聞」の自他商品識別標識として認識される程度が低く、また、それぞれの語を含む会報等が多数あり、「独占使用を認めることは公益上、適当とはいえない」として、商標登録を取り消した。(上記リンク先)

 だから、なんで審査の時にそう言わないんだ。

 ほんと、ちゃんと審査しているのか、特許庁? というより、機能しているのか、特許庁は。実際に特許庁で手続をしてみて、こういうことは起こりうると思えるものな。

(本文中でリンクしていない参考サイト:「商標『福沢諭吉』の無効審決について」日本弁理士会)
by clocken | 2005-07-04 01:13
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思考の空転するままに書くことができたら。


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